たこわさ

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遂に最終巻「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」12巻 感想

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)

いよいよ最終巻。感慨深いものがありますが、さて。

(以下ネタバレ)



( ゚д゚)ポカーン
(つд⊂)ゴシゴシ
( ゚д゚)ポカーン

――以上、読み終わった直後の私の状態ですが……いやいや、予想していた展開の中では二番目に最悪な終わり方でございました。まさか、誰も何も得ない終わり方をしてしまうとはな、と。ある意味有耶無耶エンドやハーレムエンドよりもタチが悪い。

それでも、前半1/3位までは楽しく読めていたんですよ。あやせが振られる事はある意味想定済みだったし、黒猫が振られた時も「ああ、という事は地味子さんENDか。それもまた良しかな」とか思ってたんですが、まさかの実妹との相思相愛、期間限定とはいえ「恋人」として過ごし「二人だけの結婚式」まで挙げてしまって本気キス、更には「普通の兄妹に戻ったはずなのに京介が未練がましく『お願い』を使って不意打ちキス」END(長いよ)だとは……。

この終わり方を「楽しかった」と言える人はよほど寛容な精神をお持ちか、もしくはちょっと脳を診てもらった方がいいレベルに変態をこじらせている方じゃないだろうか。*1

以下、あらすじネタバレを御求めの方に簡単にまとめてみました。

京介、桐乃(実妹)にガチで恋愛感情を持っていたから他の女を全て振る。
→黒猫の事も大好きでキープしてたけど振る。散々返事を先延ばしにしておきながら振る。しかも悲劇の主人公気取り。
→桐乃(実妹)に告白。振られたら潔く諦める程度の事しか思っておらず、桐乃が自分に恋愛感情を持っていなかった場合に彼女が被るであろう精神的ダメージ(頼りになる兄貴が自分を性的な目で見ていた変態だった)は全く考えていない倫理観に悩む描写も皆無
→桐乃にOKされたから毎日イチャラブ。何故か親には全くバレないばかりか、そもそも最終巻に両親は全く欠片も登場しない
→地味子さんに「社会性とかどうするの?」と諭されるが、「桐乃の事が大好きだから問題ない!」と社会との折り合いや偏見との戦い、倫理観を侵すという背徳に対する覚悟は欠片も見せない
→地味子さんに「お父さんにばらしたらどうするの?」と聞かれたら「黙っていて!」と泣いてすがる
桐乃、地味子を煽りはじめる「京介取られて取られてどんな気持ちー? ほらほらなんか言ってみー(笑)」
→地味子、桐乃を鉄拳制裁。桐乃、逆切れし反撃。殴り合いに。
→(自分達を心配してくれた)地味子を精神物理両面から徹底的に叩きのめす兄妹。
→京介と桐乃、教会で二人だけの結婚式。幸せなキスをする。
→実は桐乃が社会と折り合いをつける為に、「卒業までの期間限定の恋人」という約束をしていた。二人、結婚式を最後に普通の兄妹に戻る
→とか思ったら最後の最後で京介が桐乃にキス。妹の気遣いを台無しにする
→作者曰く、「二人の恋愛関係はこれからも続いて幸せに暮らしていく」。なお、本編でそれを示唆する描写は無い


終わり。京介が倫理観や背徳感を乗り越えて桐乃への告白を決意するまでの葛藤や、告白を決断した瞬間は欠片も描写されない。「全部言わなくていいだろう?」等と言って一番肝心な所を語らずに終わる。


※これより下は、読了直後の興奮した状態で書いた感想です。考察というより愚痴なので、落ち着いてから書いた考察など交えた総括については俺妹12巻感想その2 もう一つの解釈と気持ち悪さの理由 - たこわさの冒頭及び「上記を受けて・総括」の項をご参照願います。




私がこの作品と出会った頃、原作者さんはインタビューなどで本作の事を「ホームコメディ」と謳っていたのですが、これ、ただ単に気持ち悪さだけ際立って「コメディ」なんて明るい雰囲気とはかけ離れた作品になってしまってますよね

端的に言ってしまうと、京介に全く感情移入が出来ませんでした。ただただ気持ち悪い。期間限定であり近親相姦の事実こそなかったようですが、一時でも桐乃と相思相愛となったという事は、彼は「兄」という役割を放棄したのも同然であり、人間として尊敬できないただの異常者にまで身を貶めてしまった、という事になり。例え桐乃に対して異性としての好意を抱いていて、桐乃も自分のことを好いていたとしても、自分の気持ちは押し殺してあえて妹を突き放し異常者の道から救い出してあげる事が「兄」としての最善の行動だったんじゃないですかね? 「スーパー京介さん」とか言ってたけど取り得る最悪の選択肢を進んで選んだ阿呆としか思えない。我が身を犠牲にしてでも妹を全力で守るあの日の京介氏は死んだ! 何故だ!?

「普通の兄妹」に戻った後にキスしてしまった件からみても、京介氏マジ最低というか。あれじゃ期間限定の意味ないし、桐乃は今後普通の恋愛なんて出来ないでしょう……。

京介が誰を選んでも、伏見氏ならば最後は笑って大団円にしてくれる、きっと最後の一ページまでワクワクした気分でめくれるはず、と信じておりましたが、その期待は完全に裏切られましたわ。京介の「告白」の辺りからもうページをめくるのがつらくてつらくて、それでも残りページが大量にあるからきっと何かどんでん返しをかましてくれるに違いない、と淡い希望を抱いて読み進めるも、結局最後まで気持ち悪い展開が続くだけ。待っていたのは「期間限定の恋人」とかいう作中の登場人物も読者も、誰も得をしない気の抜けたギミックだけって……。
一応、「未来はまだ空白」的な終わり方をしているものの、それも希望に溢れた未来というよりは京介が全ての可能性を自ら閉ざしてしまった下り坂の約束された未来にしか見えなくて。読後感としても最悪だよな、と。

誰かが傷付き誰かが泣いても、その代償として誰かが幸せになればまだ救いはあるものですが、結局「何も得るものなし」ENDって本当に誰得なんだろう。登場人物も、読者もそうだけど誰より伏見氏自身は救われたのだろうか? 自分の手を離れて大きくなり過ぎた作品(しかも作品が元で執拗な脅迫まで受けた)*2にようやくピリオドが打ててほっとしているでしょうか? それとも……?

コメディはコメディらしく、笑って終われればそれで良かったのに。……本作品の事が本当に好きだっただけに、心底残念に思います。

その他雑感やTwitterに投稿できないネタバレつぶやき(随時追記)

  • 黒猫と地味子さんが本当に可哀想でなりません。あんな変態兄妹に関わらなければ、彼女らもあんな酷い傷付けられ方をしなくても済んだのに。つーか、これで黒猫さんは闇猫ルート確定=将来はフェイトさんのような人間の形をしたゴミに(´;ω;`)ウッ…
  • 加奈子の告白は……やる必要あったんかいな? という感じ。もののついでのように片付けられていてむしろ可哀想w
  • ちなみに、同じシスコンENDでも京介が兄妹の境界は越えないで他のヒロインを振っていたのならもう少し印象は違ったかもしれませんが、それは本編でもゲームでももうやったので使えなかったのかも。
  • 読み終わったばかりで冷静じゃないので、よそ様の感想やら読んでからまたなんか書くかも。でも正直、これ以上この作品と向き合うのは苦痛。
  • これで「俺妹が終わったので別キャラをヒロインにして京介とラブコメるスピンオフを出します」とか言ったら神展開ですな。神といっても破壊神とか死神の類だけど。
  • 11巻で見事なヒロイン振りを見せてくれた櫻井秋美ちゃんの再登場は普通に嬉しかったけど、あの展開の最中じゃなぁ……。
  • ボタンを掛け違えた兄妹が散々周囲の人間を傷つけた挙句、結局ボタンを掛け違えたままでいる事を選んだ話、とも言えるかもしれない。どちらにしろ誰も幸せになってないし、京介が現状に満足していたとしたら自己満足も甚だしい。
  • 可能性として「京介が妹の願いを叶える為に自分のフラグ全部へし折って犠牲になった」って解釈も出来なくはないかもしれないけど、まあやっぱり無理はあるよな……。
    • ただ、上記解釈をすると京介の最後のキスは「兄妹なんだから別にいいだろ」という言葉でもって「期間限定とはいえ恋人同士だった」という過去も正当化=度を過ぎた兄妹のスキンシップであり、決して男女の関係ではなかったと「上書き」する行為だった、と捉える事も出来るが……流石に苦しいか。
    • つーか11巻までの時点で京介は歪んだシスコンだけど桐乃の事を異性として見てはいなかったように思えるんで、なおさら12巻での近親相姦上等兄貴振りは違和感あるんだよなぁ。度を越して妹を溺愛していてもやっぱり「お兄ちゃん」という立場は揺るがないと思っていたのにね。
  • 地味子さん好きじゃない私でしたが、あの結末――というか京介の決断については許せねえなこいつ、って感じで怒りしか湧かない。
  • ラノベに小気味いい結末を求める事は間違っているのだろうか?
  • 「俺妹はホームコメディ」と明言していた伏見氏を信じていたのに裏切られた、と感じている人は多いだろうなぁ。Twitter上でも何件かみかけた。リツイートするとネタバレ拡散になるのでお気に入り登録しまくっている。
  • ゲームで各キャラクター(桐乃含む)との未来を提示してくれていた訳で、多分どの派閥の人も(良識があれば)京介が誰を選んでも怒らなかったと思うんだけど、人道的にも倫理的にも許されない行為を堂々とやらかして「兄」という立場すら実質上放棄した京介に対して怒りを禁じえないし、はっきりいって気持ち悪い、周囲の人間も頭おかしいんじゃない? と思う人は多分少なくなくてむしろそちらの方が理性的な捉え方だとすら思う。
  • いい年こいたオタがここまで荒ぶれるほど良い作品だっただけに、こんな終わり方をして残念だ。これならまだ「ダブル・ブリッド」の方がハッピーエンドだぞ。
  • Twitterの感想見てたら結構好意的なものが多くてビビる。エロゲーでもないのに兄妹で恋人同士というシチュエーションを許容できる精神って……。
  • ちなみに「じゃあどんな終わり方が良かったの?」と問われても答えは複数出せる。例えば桐乃ENDだったとしたら、同じように「妹が一番だから」という理由でフラグ折りまくるけど「桐乃が一番大事だけどあくまで妹として」と京介が桐乃を納得させる、とか。他のヒロインの扱いが酷すぎる事には変わりないけど、少なくとも気持ち悪くはない。
    • つーかゲームのあやせENDみたいな終わり方が一番綺麗だったと思うんだ……。京介が誰を選んだとしても。
  • 【コラム・ネタ・お知らせ】 かーずSP x アキバBlog x 俺妹コラボ特別企画! 「俺の妹」、その時歴史は動いた! - アキバBlog

三木:小説の最終巻が6月7日に発売されます。もう僕たちは全部やりきっているので、皆さんへお届けするだけなんですけど、必ず満足できるものになってます!今まで追っかけてくれた人は必ず満足できると思います!そして、とても分厚いので味わって読んでいただけると幸いです。

  • それはひょっとしてギャグでいっているのか?
  • つーかこの発言を額面通り受け取ると、三木氏はあの展開が大満足なようだから――戦犯はこいつか!(ぉ
  • 普段はあんまり同意できない事が多いAmazonのレビューも今回ばかりは……。私的に一番共感出来たのはこちらのレビュー
  • 肯定派の意見に「タイトルからこの展開は予想できたはず」とか言っている方がいるんですが、姉妹に対する「可愛い」って性的なアレやソレとは全く別物な訳でして、むしろ「妹が可愛すぎる!」という兄貴の発言から近親相姦的な発想が出てくるような下種な脳みそをどうにかした方がいいと思ったり。エロゲーみたいに変態である事前提の世界じゃないんだからさ。
    • つーか原作者&編集者がホームドラマ・ホームコメディという言葉を連呼していた訳だから詐欺もいいところだよなー、と。
  • つまるところ、京介氏が自己犠牲的手段で妹やヒロイン達を助けていたのではなく、自分の性愛的欲求を満たす為の行為である事が判明した、という所に失望や気持ち悪さを感じているのだと思った。

6/8追記

はてな内で感銘を受けた感想の紹介をば。

感想その2を書きました。

俺妹12巻感想その2 もう一つの解釈と気持ち悪さの理由 - たこわさ
併せてどうぞ。総括もそちらに書いてあります。コメントはどちらにでも、ご随意に。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブルが続くわけがない (初回特装版) - PSP

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ゲーム版のエンディングはどれも素晴らしかったのに……肝心の原作がこんな酷いことになるなんて。

*1:我ながら酷い言い回しですが、つまりはそのくらいに物語的整合性も論理性も倫理性も今までの展開もすっ飛ばしたお話だった、とご理解いただきたい。

*2:そういえば、伏見氏を脅迫した犯人は桐乃派でしたね……。なんたる皮肉。